菌根菌による樹木の成長促進機構

 

菌根菌とは?

菌根菌は植物の根に共生する菌類です。実はほとんどの植物の根についているのですが、樹木に共生する菌根菌はキノコの仲間が多いです。マツタケやトリュフも菌根菌です。

こうした菌根菌は、樹木が光合成で作った炭水化物をもらって生きています。かわりに、菌根菌は土壌中から吸収した養分を樹木に渡します。まさに「もちつもたれつ」の仲良し。

菌根の姿

樹木の細根は菌根菌の菌糸ですっぽり覆われています(左図の白いもの)。これを輪切りにして染色してみると、菌糸は根の内部にも深く侵入しているのが分かります(右図)。これが菌根の姿。菌根からは無数の菌糸が土壌中に伸びています(右図)。これが根の延長として機能し、土壌養分を遥かに効率的に吸収できるようになるのです。

文字通り「菌」と「根」が一体となって「菌根」という訳です。

樹木の成長と菌根菌

樹木にとって菌根菌はとても大切なパートナー。菌根菌がいないと、養分をほとんど吸収できないので、樹木は成長できないのです(図の左上の対照区)。菌根菌の助けがあってはじめて成長できるのです。左図で最も効果のあった菌根菌の実験区では、6ヶ月後には苗の大きさが対照区の8倍、光合成量で32倍にもなっていました。

根毛は役立たず?

野外の樹木の細根は、実は「菌根」になっているので、菌根菌の感染していない根を見ることはほとんどありません。ただ、実験室で滅菌した土壌をつかって苗を育ててやると、菌根菌の感染していない細根が見られます。教科書で見るような根毛もたっぷり。上の実験の対照区でも根毛のある細根ばかり。しかし、どんなに根毛があっても土壌から養分を吸収できないので、苗は全く成長できないのです。

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